特定技能『素形材産業』は、製造業で外国人材の雇用を推し進めるために作られた在留資格です。特に製造分野では人手不足に悩まされる企業の割合が高く、早急な労働力の確保が求められています。中でも素形材産業は業務区分が細かく分かれており、他の製造2分野と被っている業種も多く、どの業務に対応しているのか複雑になりがちです。
そこで今回は、素形材産業に関する特定技能試験や就労の流れなどについて詳しく解説していきます。

特定技能『素形材産業』とは

特定技能『素形材産業』とは

特定技能『素形材産業』は、特定技能の中でも製造3分野と呼ばれるうちのひとつです。他にも産業機械製造業分野、電気・電子情報関連産業分野があり、それぞれが日本の産業において欠かせない存在となります。

中でも素形材産業は、自動車や電化製品、生活用品などの様々なモノに使われる「素形材」という部品を製造している分野。具体的には金属や木材、石材やゴムなどに熱や力を加えて精密な部品として仕上げた製品のことです。

素形材は、用途に応じて求められる強度や硬さなどの性質、摩耗や腐食といった耐久性は異なります。そこで元となる素材の特性を活かした加工を施すことにより、ニーズに応じた製品を作り上げるのです。

そして特定技能『素形材産業』は、これらの産業分野で新たな外国人労働者を受入れることを目的とした在留資格。経済産業省が管轄となっており、同分野に関する最新情報などをホームページで発信しています。

深刻化する人手不足に対応した特定技能

以前から日本では、少子高齢化や団塊世代の引退などにより、多くの業界で人手不足という問題が生じています。政府としてもこの現状を把握し、生産性向上や国内人材の確保などの取り組みを実施。しかし改善策を打ち出してもなお、困難な状況が続いています。

特に製造業では、大企業や中小企業の94%以上が人手不足を実感しており、32%の企業が経営にも影響を及ぼしていると回答。その中には、素形材産業に関わる業種も含まれています。

製造業における人手不足の現状-全体像

様々な業界で深刻化する人手不足を解消するためには、外国人材の活用も必要不可欠であると判断。そこで外国人雇用の幅を広げる新たな在留資格として「特定技能」が創設されました。

特定技能制度は、一定の技能水準や日本語能力などを満たすことで得られる在留資格で、技能実習よりも長期的な雇用を実現しています。これにより、専門的な技能や知識を持った即戦力となる外国人材の確保につながるのです

同制度では、それぞれの分野に応じて受け入れる見込み人数も異なります。素形材産業においては、制度開始から5年で21,500人が目標。今後の日本の経済情勢が変化しない限りは、外国人受入れ数の上限として運用する方針です。

では実際に特定技能制度で受け入れた外国人は、どのような業務に就くことができるのでしょうか。素形材産業分野での具体的な業務について見ていきましょう。

素形材産業の業務範囲

製造3分野の特定技能には、製造する部品により様々な工程があるため、全部で19の業務区分が設けられています。その中でも素形材産業は、主に素材や加工方法ごとに定められた13業種に対応しているのが現状です。

素形材産業の範囲
(日本標準産業分類における番号及び名称)
2194鋳型製造業(中子を含む)
225鉄素形材製造業
235非鉄金属素形材製造業
2424作業工具製造業
2431配管工事用附属品製造業(バルブ、コックを除く)
245金属素形材製品製造業
2465金属熱処理業
2534工業窯炉製造業
2592弁・同附属品製造業
2651鋳造装置製造業
2691金属用金型・同部分品・附属品製造業
2692非金属用金型・同部分品・附属品製造業
2929その他の産業用電気機械器具製造業(車両用、船舶用を含む)
3295工業用模型製造業
素形材産業分野の業務区分
鋳造鍛造ダイカスト
機械加工金属プレス加工工場板金
めっきアルミニウム仕上げ
機械検査機械保全塗装
溶接 

ただし素形材産業に限った業務だけでなく、他の製造分野である「産業機械製造業」や「電気・電子情報関連産業」と被る業務も存在しています。同じ分野内であれば、申請を行うことで転職なども可能になるので覚えておいて損はありません。

また素形材産業に該当しない業務の場合でも、同じ仕事をしている日本人が行う通常業務の範囲なら、ある程度の関連業務に取り組むことが可能です。例えば、原材料の調達や搬入、フォークリフトなどの運転作業、清掃や保守管理などが挙げられます。

『素形材産業』特定技能試験の内容

『素形材産業』特定技能試験の内容

特定技能『素形材産業』では、同分野の専門的な技能や知識とある程度の日本語能力が求められます。そして「製造分野特定技能1号評価試験」を受けることでそれらの能力を判定し、一定の水準を満たしていれば在留資格を取得することが可能です。

そのため、外国人の誰もが特定技能の資格を得られる訳ではありません。では具体的な試験内容や受験する条件などについて詳しく解説していきます。

受験資格

素形材産業の試験を受けるには、他の分野と同様にいくつかの条件を満たす必要があります。まず「満17歳以上である」「日本で働く意思がある」ということが、全ての試験で共通する条件です。主に海外試験では、この条件のみとなります。

日本国内の試験を受けるには、上記に加えて「在留資格を有するもの」「法務大臣が告示で定めるパスポートを所持している」が必須です。特に2020年4月以降の国内試験からは受験資格が拡大され、短期滞在ビザでも在留資格の条件を満たすことが可能になりました。

要するに正式な手続きを踏んで日本に入国すれば、特定技能試験を受けられます。ただし試験に合格した場合でも、必ず在留資格が得られるわけではありません。後の申請において外務省の審査があり、それに通らなければ資格が発行されないのです。

技能水準

製造分野特定技能1号評価試験には、業務範囲と同様に19の試験区分があり、それぞれの分野に対応した受験が必要となります。素形材産業では、その内13種の試験において一定の技能水準が求められるでしょう。

素形材産業13試験区分

鋳造、鍛造、ダイカスト、機械加工、金属プレス加工、工場板金、めっき、アルミニウム陽極酸化処理、仕上げ、機械検査、機械保全、塗装、溶接

同試験ではこれらの13業務において、現場監督者や上司の指示をしっかりと理解した上で業務に就くこと、もしくは労働者本人の判断で遂行できることを確認します。具体的な水準としては、技能実習2号修了者が受ける「技能検定3級試験」程度が基準です。

技能実習生とは、取得する際に試験がなく一から技術を教わりながら日本で働く制度。そして技能実習2号の修了者とは、約3年間の実習経験を経て受験するものなので、ある程度の技術や知識が必要なことが伺えます。

また2021年3月に実施された「製造分野特定技能1号評価試験」では、機械加工や塗装の合格率が18%ほどと低い傾向です。試験結果からも簡単に合格できるわけではないことがわかります。

製造分野特定技能1号評価試験の試験結果
特定技能外国人「素形材産業」労働者分布図

評価方法

「製造分野特定技能1号評価試験」は、主に学科試験と実技試験の2つに分けて行い、専門的な技能や知識を評価します。実施方式は、CBT(コンピューター・ベースド・テスティング)方式、ペーパーテスト方式や実際の制作作業などです。

CBT方式は、会場に設置されたコンピューターで出題や回答が行われるもの。準備にコストがかからないため、少数の受験者に分けて試験を開催できるのがメリット。最近では新型コロナ感染の予防も兼ねて、CBT方式を実施する特定技能分野が増えています。

また製造3分野の実技試験は、業務区分によって内容が異なるため注意が必要です。例えば溶接は、実際の溶接作業を試験官の指示に従いながら行います。それ以外の18業務では、実際の作業工程などが想定されたシチュエーションに対して、正しい選択肢を答えるというものです。

それぞれの試験での合格基準は、

  • 学科:正答率65%以上
  • 実技:正答率60%以上、手溶接作業は「JIS Z 3801」、半自動溶接作業は「JIS Z 3841」に基づき判定

となります。

日本語能力水準

特定技能の全ての分野では、技能試験と別に日本語試験を受ける必要があります。これは外国人の方が、仕事でのコミュニケーションで必要となる日常会話や生活に支障をきたさない程度の日本語力があるかを図るもの。

試験については、「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験」のどちらかで一定以上の基準を満たさなければなりません。主な条件としては、

  • 日本語基礎テスト:A2レベル以上
  • 日本語能力試験:N4レベル以上

となります。

具体的には、基本的な個人情報や生活で使われる文章や表現を理解したり、簡単な言葉で説明できること、ゆっくりと話す日常会話であれば聞き取れることなどです。仕事をする上で他の従業員とのコミュニケーションは非常に重要となるため、特定技能外国人においてもある程度の日本語能力は欠かせません。

試験会場と日程

製造分野特定技能1号評価試験の会場は、開催時期によって様々です。例えば直近の2021年3月には、

  • 東京都:TKP市ヶ谷カンファレンスセンター
  • 愛知県:TKPガーデンシティPREMIUM名古屋ルーセントタワー
  • 大阪府:TKPガーデンシティ東梅田

などで開催されました。

溶接以外の国内試験は、主にレンタルスペースや大学、ホテル施設の会議室などで試験が開かれています。一方で業務区分が溶接の場合、実技試験の兼ね合いもあり地域ごとに点在する「溶接技術検定委員会」で実施されるようです。

また過去には海外でも開催されており、インドネシアのスラバヤやフィリピンのマニラが試験会場になった実績もあります。ただ海外での開催数は少なく、すぐさま特定技能を取得するには国内試験を受けなければならないのが現状です。

試験の日程については、コロナ禍による影響もあり現在のところ目処が立っていません。昨年の実施が1月・3月・10〜12月だったことを鑑みるに、今年の開催も夏以降になるかもしれません。経済産業省の公式サイトまたは製造分野特定技能1号評価試験のポータルサイトでの発表を待ちましょう。

会場日程試験区分
東京2021年7月21日(水)午前:プラスチック成形・アルミニウム陽極酸化処理・ダイカスト
午後:電子機器組立て・鋳造・工場板金
夕方:プリント配線板製造・めっき・塗装
2021年7月21日(水)午前:プラスチック成形・アルミニウム陽極酸化処理・ダイカスト
午後:電子機器組立て・鋳造・工場板金
夕方:プリント配線板製造・めっき・塗装
名古屋2021年7月26日(月)午前:金属プレス加工・鍛造・鉄工
午後:機械加工・電気機器組立て・工業包装・仕上げ
夕方:プリント配線板製造・めっき・塗装
2021年7月27日(火)午前:機械保全・機械検査・プラスチック成形・ダイカスト
午後:電子機器組立て・鋳造・工場板金・アルミニウム陽極酸化処理
大阪2021年7月29日(木)午前:金属プレス加工・鍛造・鉄工
午後:機械保全・機械検査・仕上げ
夕方:機械加工・電気機器組立て・工業包装
2021年7月30日(金)午前:プラスチック成形・アルミニウム陽極酸化処理・ダイカスト
午後:電子機器組立て・鋳造・工場板金
夕方:プリント配線板製造・めっき・塗装
福岡2021年8月2日(月)午前:金属プレス加工・鍛造・鉄工
午後:機械保全・機械検査・仕上げ
夕方:機械加工・電気機器組立て・工業包装
2021年8月3日(火)午前:プラスチック成形・アルミニウム陽極酸化処理・ダイカスト
午後:電子機器組立て・鋳造・工場板金
夕方:プリント配線板製造・めっき・塗装

受験料と合格証明書発行手数料

製造分野特定技能1号評価試験では、受験料が2,000円となります。他の分野では1,000円〜8,000円程度かかるケースもあるので、比較的安い費用で試験を受けることが可能です。

また技能試験の合格証明書を発行申請する際にも、通常時だと10,000〜20,000円ほどの手数料が掛かりますが、経済産業省の公式サイトには「当面の間は徴収しない」と明記されています。

ただし期間が2020年度内となっているため、次回以降の試験で手数料が掛かるかはまだ分かりません。試験の日程などと合わせて発表される可能性もあるので、見落としがないよう必ずチェックしておきましょう。

技能実習2号からの移行対象職種

技能実習2号からの移行対象職種

特定技能『素形材産業』の在留資格は、技能実習2号からの移行により取得することも可能です。その場合、業務で必要となる技能や日本語能力を満たしているものとして、特定技能試験が免除されます。

ただ試験の免除は、技能実習2号を良好に修了した者であることが条件です。具体的には、

  • 実習計画に沿って2年10ヶ月以上修了していること
  • 2号実習生が目標とする「技能評価試験(技能検定3級相当)」の実技に合格
  • 移行先の特定技能と職種が一致していること

となります。

特に移行する特定技能と技能実習生で行なっていた業務が異なるものだと、試験が免除されないことも。素形材産業では業務区分が多いため、必ず関連性のある職種かを確認する必要があります。

移行対象となる職種については、以下の通りです。

特定技能1号(製造3分野)の対象業務区分一覧とそれに対応する技能実習2号移行対象職種

特定技能1号対象業務区分技能実習2号移行対象受入れ可能な事業者の産業分野
職種名作業名素形材産業産業機械製造業電気・電子情報関連産業
鋳造鋳造鋳鉄鋳物鋳造、非鉄金属鋳物鋳造
鍛造鍛造ハンマ型鍛造、プレス型鍛造
ダイカストダイカストホットチャンバダイカスト、コールドチャンバダイカスト
機械加工機械加工普通旋盤、フライス盤、数値制御旋盤、マシニングセンタ
金属プレス加工金属プレス加工
鉄工鉄工構造物鉄工
工場板金工場板金機械板金
めっきめっき電気めっき、溶融亜鉛めっき
アルミニウム陽極酸化処理アルミニウム陽極酸化処理陽極酸化処理
仕上げ仕上げ治工具仕上げ、金型仕上げ、機械組立仕上げ
機械検査機械検査機械検査
機械保全機械保全機械系保全
電子機器組立て電子機器組立て電子機器組立て
電気機器組立て電気機器組立て回転電機組立て、変圧器組立て、配電盤・制御盤組立て、開閉制御器具組立て、回転電機巻線製作
プリント配線板製造プリント配線板製造プリント配線板設計、プリント配線板製造
プラスチック成形プラスチック成形圧縮成形、射出成形、インフレーション成形、ブロー成形
塗装塗装建築塗装、金属塗装、鋼橋塗装、噴霧塗装
溶接溶接手溶接、半自動溶接
工業包装工業包装工業包装

『素形材産業』特定技能就労開始までの流れ

『素形材産業』特定技能就労開始までの流れ

企業が特定技能外国人を雇用するには、基本的にどの分野でも同じ流れで行います。ただし、海外在住者と日本国内に在留している方で若干の違いがあるため、間違えないよう注意してください。

具体的には、以下の通りです。

1. 特定技能試験に合格後、企業の求人応募や職業紹介事業者で仕事を探す

2. 受入れ企業と特定技能外国人が雇用契約を結ぶ

3. 受入れ企業による事前ガイダンス、外国人が健康診断の受診などの準備

4. 海外在住者:在留資格認定証明書の交付申請、国内在留者:在留資格変更の許可申請

国内に在留している外国人の場合、在留カードの交付後、支援計画の実施や受入れ先企業で仕事を開始します。海外在住者は、在留資格認定証明書の交付後も入国手続きなどが必要です。以下の流れで進めましょう。

5. ビザの申請(在留資格認定証明書を海外現地の大使館などへ提出)

6. ビザが発給されたら日本へ入国

7. 外国人の入国後、すみやかに支援計画を実施

8. 特定技能外国人の就労開始

受入れ企業が取り組む支援計画は、出入国時の送迎や日本での生活オリエンテーション、住民登録や住居の確保、口座開設といった手続きのサポートなどが挙げられます。企業が実施できない場合には、登録支援機関に委託することも可能です。支援計画の詳しい内容については、以下の資料をご参照ください。

受け入れ機関(企業)の条件

素形材産業の受け入れ機関に課される条件としては、主に「協議会への参加」や「経済産業省の調査・指導への協力」などが定められています。分野によっては、その他にも特定の機関から認証を得るなどの事項が必要となります。

これだけを見ると、素形材産業はその分野特有の条件が比較的少ない方です。ただし全分野に共通したもので、特定技能外国人との雇用契約や支援に関する基準、受け入れ機関自体が満たすべき基準などもあります。スムーズに外国人を受け入れるためにも、必ず目を通しておきましょう。

特定技能人材の待遇

特定技能外国人の受入れ機関が満たすべき基準は、主に外国人との雇用契約や支援体制、受入れ機関などに関することです。中でも雇用契約では、外国人材への待遇に関する重要なことが記載されています。

特定技能外国人との雇用契約で満たすべき基準(一例)
  • 所定労働時間が、同じ受入れ機関で雇用する通常の労働者と同等であること
  • 報酬額が日本人が従事する場合の額と同等以上であること
  • 外国人であることを理由として、差別的な扱いをしないこと
  • 一時帰国を希望した場合,休暇を取得させること
  • 受入れ機関は外国人の健康状況やその他の生活状況を把握するために必要な措置を行う

つまり外国人というだけで他の職員と差別することは認めておらず、一緒に働いている日本人従業員と同じ待遇や報酬にする必要があります。加えて、外国人の生活面における支援も欠かしてはなりません。

また受け入れ企業自体が満たすべき基準の中にも、外国人への待遇について明記されてます。雇用する際には労働基準法や社会保険、税金に関する法令遵守はもちろんのこと、仕事を続けられる環境づくりなども欠かせません。

受け入れ機関自体が満たすべき基準(一例)
  • 労働や社会保険、租税に関する法令を遵守する
  • 支援に必要な費用を外国人に負担させない
  • 雇用契約を継続する体制を適切に整備する
  • 報酬は預貯金口座への振込などで支払う

「協議・連絡会」への加入

素形材産業の場合、受け入れ機関として認められる条件に経済産業省が運営する「「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」の構成員になることが含まれています。特に初めて特定技能外国人を雇用する際には、加入するための届出が必要です。

加入申請など手続きは、経済産業省のポータルサイトから受入れ機関(企業)向けの申し込みを行なってください。

申し込みの準備ページでは、事前に入力する内容を確認することが可能です。主に「法人情報」「担当者連絡先」「受入れ事業所情報」「登録支援機関情報」などの記入事項があります。また証明書類の作成・提出もしなければならないため、必要に応じて書類を用意しましょう。

「協議・連絡会」の入会手続きに関する改正

これまで製造分野の協議・連絡会への加入は、特定技能外国人の受け入れから4ヶ月以内に行うものとして課されていました。

しかし入会時の審査に、在留資格手続きなどで申請した分野や事業内容が一致しない事例がいくつも発生。すでに外国人の雇用を開始しているにも関わらず、協議・連絡会へ入会できない事態に陥るケースがありました。

そこで経済産業省は、協議・連絡会の構成員となる要件を出入国在留管理庁の手続き前に変更。2021年1月29日に改正を公布し、同年3月1日より施行しています。

つまり現在では製造分野の特定技能外国人を受け入れる前に、協議・連絡会への加入を済まなければなりません。さらに改正の影響で申し込みが増加し混み合っている状況なので、早めの申請を心がける必要があります。

特定技能『素形材産業』で外国人材の活躍の場が増える

製造分野の特定技能の中でも、特に素形材産業は人手が必要とされています。というのも素形材産業の受入れ見込み数が約2万人なのに対して、他の製造2分野は5,000人ほど。より特定技能外国人による人材確保を求めているのです。

とはいえ、13もの業務区分があり専門的な技能も必須なので、簡単に取得できる在留資格ではないことが伺えます。技能試験の合格率も低いため、一から特定技能で始める外国人の方は少ないかもしれません。

しかし特定技能は、まだまだ新設されたばかりの制度です。コロナ禍による影響もあり、積極的に推し進められない状況が続くものの、制度が継続することで改善やノウハウの構築につなげられます。

そして技能実習2号からの移行という手段もあるため、今後も製造分野で外国人材による活躍の場は増加していくはずです。もし素形材産業で人材不足に悩まされているなら、特定技能外国人の雇用も視野に入れておきましょう。