特定技能には、即戦力となる程度の技能が求められる1号とより熟練した技能が求められる2号があります。1号については国内外で試験が実施されたりと取得が開始されていますが、2号についてはまだ不確定な情報も多いです。
今回の記事ではそんな特定技能2号の最新情報やメリット、1号との違いなどについて詳しく解説していきます。

特定技能2号の試験状況

特定技能2号の試験状況

日本では昨年、外国人労働者を受け入れるための新たな在留資格「特定技能」が開始されました。この在留資格には、特定技能1号と特定技能2号があります。

現状、特定技能1号では技能評価試験と日本語能力試験に合格することにより、14の業種で働くことが可能です。試験自体もフィリピンやカンボジア、ミャンマーなどの日本と協定を結んでいる様々な国で実施されています。

しかし特定技能2号では、対象となるのが「建設業」と「造船・舶用工業」の2業種しか今のところ検討されていません。試験の開催についても未定で、2021年頃になると言われています。

令和2年10月1日時点で,「特定技能2号」による外国人の受入れ対 象分野は,建設分野と造船・舶用工業分野の2分野です。

引用元 特定技能制度に関するQ&A|出入国在留管理庁

そもそも特定技能2号は「熟練した技能」が求められる資格です。2号の取得条件にも「特定技能1号取得後、日本で3年間の就業」という項目があるように、特定技能1号からステップアップした資格と言えるでしょう。

ただし2019年4月に開始して間もない制度となっており、試験の内容や1号から2号への移行、申請手続きなどの様々な部分で環境が整っていないことが伺えます。

今後もいつ特定技能2号の試験が開始されるのかは明確ではないため、法務省の公式HPなどをしっかりチェックしてアンテナを張っておくことが重要になるでしょう。

特定技能1号と2号の違い

特定技能1号と2号で最も異なる点といえば、特定技能2号には在留期間に上限がないことです。1号の場合、最大で5年間と定められており、一度帰国してから再度働く際にも期間は通算されます。

特定技能の在留資格においては、通算5年間在留することが可能ですが、この通算は、他分野での就労も含まれます。
よって、他の分野であっても、通算5年を超えて特定技能の在留資格で就労することはできません。

引用元 よくある質問|特定技能総合支援サイト

しかし特定技能2号では3年か1年、または6ヶ月ごとに更新する必要はあるものの、上限がないため事実上の永住が可能です。

ずっと日本に在留できることから、1号では認められていない家族の帯同も要件を満たせば問題ありません。長年日本にいると家族となかなか会えないなどの不満もあるため、そうした理由でいつかは日本から離れてしまう外国人の方に考慮した結果ではないでしょうか。

また日本での生活に慣れていることもあり、受け入れ機関や登録支援機関のサポートを受けることはできません。特定技能2号で働く方には自立した生活が求められます。

特定技能2号の試験スケジュール

特定技能2号の試験スケジュール

特定技能2号の試験日については、法務省のHPなどでも記載されておらず今のところ未定です。ただし2021年度から試験が開始されるとも言われていたり、1号から移行する際に必要な期間が3年であることから、2022年頃までには開催されることが予測できます。

2号への移行は5年経たなくても、2号の試験に受かればいつでも移行できます。
2号の試験には日本語の要件はございません。技能試験のみです。
しかし、2号へ移行する試験の実施はまだ予定はございません。

引用元 よくある質問|特定技能総合支援サイト

また現在は建設業と造船・舶用工業の分野しか対象になっていません。当面見送りになると言われているその他の分野では、試験自体が開催されるかも不透明です。今後の法務省などからの続報を待ちましょう。

特定技能2号の最大のメリットとは

特定技能2号の最大のメリットとは

特定技能2号での在留は、永住申請の対象期間になることも検討されています。例えば外国人が日本で永住権を獲得するには、基本的に在留10年以上とそのうち5年以上が収録資格によるものという要件があります。

しかし特定技能1号や技能実習では、在留期間はカウントされるものの永住権での就労資格とは認められていません。特定技能2号により長期間日本で働くことで、永住権の申請ができるようになるメリットがあるのです。

ただし永住権の要件には「引き続き10年以上の在留」と明記されているため、長く日本を離れている期間があると10年以上の在留にカウントされないことも考えられます。特に特定技能1号の在留資格は、通算で5年間在留することが可能です。中には途中で帰国する方もいるので、カウントされない期間が生まれるケースもあるでしょう。

永住権の申請は、出国している日数が多くなるほど不許可となる可能性が高くなります。現状では特定技能1号の在留が10年の要件にカウントされるかは不明ですが、注意するにこしたことはないでしょう。

また永住権を申請しなくても、現段階では特定技能2号に在留期間の上限はありません。定期的に更新する手続きなどは必要なものの、今のところ最も大きなメリットと言えるのが実質日本へ永住できる点だということになります。

それに加えて家族との帯同も要件を満たせば許可されるため、自国にいる配偶者や子供を日本に連れてきて一緒に住むことも可能です。

今後の動向に要注目の特定技能2号

特定技能2号は制度自体が始まったばかりなので、まだまだ不確定な情報や検討されている事項も数多くあります。現段階で分かっているのは、求められる技能水準が高いことや事実上の永住が可能となる点です。

そのため特定技能2号を取得した外国人労働者が増えれば、それだけ日本の人材レベルが高くなること間違いなしでしょう。今はまだ建設業と造船・舶用工業の分野でしか検討されていませんが、今後の動向次第では拡大されることも考えられます。

ただし特定技能1号の取得数が現状では少なく、試験の開催なども新型コロナウイルスの影響でストップしている地域がほとんどです。これにより特定技能2号の調整にも、遅れが生じるかもしれません。

しかし日本では慢性的な人手不足に陥っている業界も多く、労働者の確保が急務になっている企業もあります。いずれは1号の試験も再開されるはずなので、今後の動きに注目しておきましょう。