飛行機が日本の空港に着いたらもう安心? しかしそうではありません。日本に滞在していた外国人が一週間の海外旅行に出かけ、日本にもどってきたところ空港で入国拒否されました。入国審査に通らなかったからです。まるで映画のようですが、これは本当の話。
ここでは入国審査に必要なこと、全体的な流れについてお伝えします。

外国人が日本に入国するときに必要なこと

外国人が入国するときに必要なことは、言うまでもなく入国審査に通ることです。審査に通るために必要な要件は下記の通りです。

  1. 自国の政府により発行された有効なパスポートをもっていること。
  2. 日本国大使館または総領事館において発給されたビザをもっていること。
  3. 入国後の活動に虚偽がなく、在留資格ごとの上陸許可基準(※1)に合っていること。
  4. 在留期間が法務省令の規定に合っていること。
  5. 上陸拒否事由(※2)に該当していないこと。
※1

上陸許可基準は在留資格ごとに詳しく決められています。ビザが発給されているということは上陸許可基準に合っているものとみなされます。

※2

上陸拒否事由は入管法によって決められており、具体的に次のような外国人は入国が拒否されます。

① 保健・衛生上の観点から上陸を認めることが好ましくない者
② 反社会性が強いと認められることにより上陸を認めることが好ましくない者
③ 我が国から退去強制を受けたこと等により上陸を認めることが好ましくない者
④ 我が国の利益又は公安を害するおそれがあるため上陸を認めることが好ましくない者
⑤ 相互主義に基づき上陸を認めない者

入国・帰国手続<上陸拒否事由(入管法第5条)|出入国在留管理庁

保健・衛生については感染症への水際対策のため随時変更されることがあります。退去強制については定められた期間を経過した後であれば拒否対象になりません。

1~5の要件に問題がなければ、入国審査官が上陸許可を与え、パスポート上に上陸許可の証印が押されます。そして晴れて「入国許可」となります。

なお、観光や家族訪問など短期滞在についてはビザ免除されている国や地域があります。ただし変更されることもありますので常に最新の情報を確認してください。

パスポートとビザの所持

入国審査に必ず必要なものは、上記に説明したようにパスポートとパスポート上にあるビザです。

特にビザは「日本国大使館または総領事館の長からの推薦状」という意味合いがあり、入国審査官は「このパスポートが本物であり、日本への入国が有効であること」と「発給されたビザの条件において入国及び滞在するにふさわしい人物であること」をビザによって確認します。

ただしパスポートとビザがあれば入国が100%確実だというわけではありません。あくまで上記の要件1と2について問題がないことを確認済みという意味です。内容に虚偽があったり、上陸拒否事由に該当したりすれば、上陸は不許可になります。

なお、ビザは日本に到着したときまたは滞在中に取得することはできません。自国の日本大使館または総領事館に事前に申請し、準備しておきましょう。

上陸申請

空港での上陸申請時、パスポートとビザの保持以外に必要なことがあります。それは、個人識別情報を提供しなければならないということです。テロ対策の強化のあらわれでしょうか。個人識別情報の内容は、顔写真及び指紋(両手ひとさし指)の読み取りです。

パスポートとビザをそろえ、個人識別情報の提供を了承の上で上陸申請となり、入国審査官による審査を受けることになります。

在留カードの交付

入国審査を通過し、パスポートに入国許可の証印が押されたら、次は在留カードの交付手続きとなります。ただし観光や親族訪問などの短期滞在者にはこのカードは必要ありません。中長期在留者にのみ交付されます。

在留カードは、法務大臣によって決められた期間内、許可され在留資格によって滞在できる証明ですから、必ず空港で交付を受けてください。交付が受けられる空港は、成田空港、羽田空港、中部空港、関西空港、新千歳空港、広島空港及び福岡空港の7カ所です。

在留カードには、氏名、生年月日、性別、国籍・地域、在留資格などが記載されます。入国後はこのカードを持って市町村役場に行き、住民票を作成します。その際、カードに住居地が記載され法務省に通知されます。

滞在期間中はこの在留カードが、身分証明、在留許可内容の証明となり、さまざまな場面で提示を求められることも多いです。出国するときにはこの在留カードは返納となります。

空港での入国審査待ち時間はどのくらい?

入国審査にどれくらいかかるのかは非常に気になるところでしょう。人数や時期、またそのときどきの状況により違いは出ますが、おおよそ知ることができるデータがあります。

ひとつは入国審査の待ち時間20分を目安としたその達成率のデータで、もうひとつは最長入国審査待ち時間の計測データです。いずれも公表されています。

空港によって多少の違いはありますが、20分以内の待ち時間達成率はここ数年70~80%を保っています。また最長入国審査待ち時間についても30~50分におさまることがほとんどで、長くても1時間を超すことはあまりありません。

2020年4月以降は、新型コロナウイルス感染症の影響で入国する外国人が激減したためにこれらデータは公表されないことになりました。(2021年4月現在)

入国審査の前に準備すべき大事なものはビザ

入国を許可する入国審査は、日本に上陸後の空港で行われます。しかしその待ち時間がおよそ20分と短く済んでいるのは、自国でのビザ申請時に厳しく審査されているからです。

よって、自国の日本国大使館や総領事館からビザが発給されたのであれば、入国審査もおおむね大丈夫でしょう。しかし最後の最後まで確実ではないということは頭に留めておきましょう。