ハローワークといえば仕事を探すときに行く場所で、対象は日本人もしくは永住者だけと考えられがちです。しかし実際には、留学生や転職をしたい外国人にも利用できるサービスがあります。また会社側にとっても、求人のためだけではなくアドバイザー的に利用できる施設です。
ここでは、ハローワークの役割、さまざまなサービスの活用法について説明します。
外国人雇用サービスセンターとは
外国人雇用サービスセンターとは、国内で就労が認められている外国人に対し、その在留資格に応じた職業相談、職業紹介を行っている施設です。
外国人は在留資格にそった活動でなければ仕事ができません。資格によっての就労時間や内容に制限があります。こういった入管法に基づいた規定について熟知しているところが外国人雇用サービスセンターです。
全国では、四谷、新宿、名古屋、福岡、大阪の5箇所があり、通訳員が配置されているところもあります。
〒160-0004
東京都新宿区四谷1丁目6番1号
コモレ四谷 四谷タワー 13階
TEL 03-5361-8722
FAX 03-3358-6564
〒160-8489
東京都新宿区歌舞伎町2-42-10
ハローワーク新宿(歌舞伎町庁舎)1階
TEL:03-3204-8609
FAX:03-3204-8619
〒460-0008
愛知県名古屋市中区錦2-14-25 あい★彡ワーク8F
TEL:052-264-1901
FAX:052-249-0033
〒530-0017
大阪府大阪市北区角田町8-47
阪急グランドビル16階
TEL:06-7709-9465
FAX:06-7709-9468
〒810-0001
福岡県福岡市中央区天神1-4-2
エルガーラオフィスビル12階
TEL:092-716-8608
東京センターと新宿センターの違い
東京センター(四谷)も新宿センターもどちらも外国人に対して職業相談や職業紹介をするという点では同じですが、対象となる外国人の在留資格やその状況に違いがあります。
留学生であってもアルバイトに関する相談なのか、新卒として就活をして就職先を探しているのかで行き先は違ってきます。自分の在留資格や目的に合う施設に出向くとよいでしょう。
東京センター
対象者は、日本で就職を希望する外国人留学生と専門的・技術的分野の在留資格(「人文知識・国際業務」「技術」「技能」など)を持っている外国人です。アルバイトを探したい留学生はこちらではなく、新宿センターの方が合っています。
外国人本人が就職に関して相談できるほか、外国人雇用に関する相談や在留資格手続きに関する質問もできますので、外国人を雇用する会社側もおおいに利用できます。
新宿センター
対象者は、日本人の配偶者等、定住者、永住者など、就労に制限のない在留資格の外国人とアルバイトを希望する外国人留学生です。新卒として就職を希望する外国人留学生は東京センターの方がよりよい情報を得られます。
就職やアルバイトに関する相談のほか、外国人雇用管理改善に関する相談や在留資格手続きに関する相談も、東京センターと同じようにできます。
ハローワークの外国人雇用サービスセンターの活用方法
外国人を雇用するとき、または雇用されるときに相談する先としての窓口は2種類あります。ひとつは「外国人雇用管理アドバイザー」で、もうひとつは「外国人雇用サービスセンター」です。どちらも利用は無料です。
雇用する側の活用方法
雇用する側にとっての相談窓口は「外国人雇用管理アドバイザー」と「外国人雇用サービスセンター」の両方になります。どちらを利用するかは目的、相談の内容によります。
外国人雇用管理アドバイザー
全国のハローワークに配置され、外国人の雇用を考える事業所に対して「雇用管理」という視点から会社の外国人雇用に関する実態をまず把握し、その問題点を分析します。そのうえで的確な改善案を提示します。
アドバイザーは、ハローワークから事業所へ派遣されることになります。実際の相談にのるだけでなく、ときには外国人従業員との間で生じたトラブルの解決への手助けもしてもらえる頼りになる存在です。
具体的な相談内容としては、以下のような例があります。
- 外国人を採用したいが、どのような方法があるのかわからない
- 外国人を雇用する際の労働条件について
- 職場での言語対応はどのように行えばよいのか
- 外国人従業員の社会保険・納税について
- 外国人従業員の生活への配慮について
初めて外国人を採用する会社にとっては、すべてがわからないことばかりでしょう。知らないからしなかったことで、後でとがめられるといったことのないように、問題が起こる前に一度、外国人雇用管理アドバイザーを利用することをおすすめします。
外国人雇用サービスセンター
東京、名古屋、大阪の三大都市のハローワークに設置され、ここでは無料で求人手続きができます。全国のハローワークと提携しているので、求人場所は問いません。上に説明した外国人雇用管理アドバイザーに相談しながら求人手続きが進められるので安心です。
また登録されたデータの中から、会社が求める条件に合う外国人求職者を探すこともできます。外国人雇用サービスセンター側で、在留資格が希望する雇用内容に適したものかチェックしてもらえることも大きなメリットです。
外国人を雇用する場合は、日本人を採用するときとは違った注意が必要です。外国人だからこそ確認すべきポイントもあれば、外国人だからといって日本人と違うわけではないと知っておくべきポイントもあります。
留学生のアルバイトを例に、そのいくつかを簡単にご紹介します。
- 留学生にも日本の法律が適用されます。労働基準法を遵守するのはもちろんで、最低賃金の額も守らなければなりません。要件を満たせば、社会保険の加入や有給休暇の付与も発生します。
- 留学生であれば「資格外活動許可」を得ているかを確認します。留学生の本来の活動は勉学です。その活動において「留学」という在留資格が許可されています。勉学ではないアルバイトという活動をする際には「資格外活動許可」をとっておかなくてはいけません。
- 留学生のアルバイトには、業種と時間の制限があります。具体的には、パチンコ店、ゲームセンター、マージャン店、キャバレー、スナックなどではアルバイトができません。また就労時間は通常の時期は週28時間までと決められています。長期休みのときには週40時間まで働けます。
在留資格にそった活動であることが絶対である外国人ですが、就労する際にはもちろん日本の法律にのっとって守られるべき存在です。どこが同じでどこが違うのかを初めに正しく理解しておきましょう。
そのために利用できるのが、外国人雇用センターです。
求人情報を探している外国人の方の活用方法
外国人雇用サービスセンターには、外国人求職者の登録システムがあります。就労希望場所が東京、名古屋、大阪以外でも、ここで登録することで全国のハローワークとオンラインシステムでつながります。通訳者もいますので相談しながら登録することができます。
また年に数回、外国人求職者のインターンシップ募集や就職説明会・面接会など、就職に関するイベントも開催されます。積極的に利用しましょう。
留学生が外国人雇用サービスを活用する場合
新卒で就職先を探している留学生は、まずは求職者として登録し、そのうえで日本人学生と同じように就職活動をしていくとより効果的に効率的に進めることができます。就職活動については、いつからどのように進めていったらよいかをセンターで相談できます。
就職活動として最初にすることは企業研究です。しかし企業研究といってもどうやってするのか、何について知るべきなのか何もわからないでしょう。また企業への資料請求についてもメールでよいのか手紙なのか、その文面は?と知りたいことはいくらでも出てきます。
こういったときに外国人雇用サービスセンターに具体的に質問することができます。
また履歴書の書き方については、自国での資格は書くか、特技として自国語を必ず入れることなど、日本人学生が書く履歴書とは違う注意点も教えてもらえます。実際に面接となったときも含め、おおいに利用してください。
卒業までに期間がある外国人留学生であっても、実際に就職活動が始まる前の早い時期に、外国人雇用サービスセンターを一度訪れることをおすすめします。卒業までにとっておいた方がいい資格、企業が求める人物像などを前もって知ることができるからです。
転職希望者が外国人雇用サービスを活用する場合
転職を希望する外国人は、まず外国人雇用サービスセンターで求職者として登録をします。全国のハローワークでも同じことができますが、外国人雇用サービスセンターでは通訳者がいるのでより安心して進められます。
その後、仕事を探すときには最寄りのハローワークで進めていくことになりますが、新しい仕事を探すことと同時に、手続きをきちんとふんで、正しく前職を退職することもかなり重要なことです。法令にそって進め、後々のトラブルとならないように注意しなくてはいけません。
また転職する理由として、前職で何かトラブルがあった場合には、その内容について外国人雇用サービスで相談することもできます。公正な立場で双方にとって誤解がなかったかを判断し、今後にどう生かしていけばよいかのアドバイスをもらえます。
また雇用される者として知るべき労働関係の法令についても教えてもらえますので、今後のトラブルをなくすためにも、転職を機にきちんと知っておくことをおすすめします。
退職についての事務手続きに必要なものや、何をすべきかについてもぜひ質問しましょう。というのは、退職していく外国人に対し、企業側がいいかげんな対応になることはないとはいえないからです。またきちんとしたくても、日本人の時とは違うのでどうしたらよいのかわからないといったこともよくあります。
特に、労災保険、雇用保険、健康保険、年金保険などの保険関連はそれぞれの意味と手続きに関して注意すべきことを、外国人雇用サービスセンターでもう一度尋ねてみてください。
転職は、前職と新しい職場と両方においての手続きが必要です。会社側がしてくれるのが基本ですが、日本人でも複雑でわからない点も多々あるので、外国人であればさらに不安なことも出てくるかもしれません。
第三者として判断、アドバイスできる立場にある外国人雇用サービスセンターは、困ったとき、トラブルになったときに頼れる場所であり、わからないことは何でも質問できる施設ですので、どうぞ十分に利用してください。
ハローワークは外国人も気軽に無料で何度も利用できる場所
ハローワークは仕事を探す人だけが利用する施設ではないということ、わかっていただけましたか。
求人したい企業にとっては求人を無料で出せ、外国人雇用にあたっては専門の立場から相談にのってもらえる施設です。また仕事を探す外国人にとっては、定住している外国人だけが対象の施設ではなく、また仕事を探す以外にもさまざまな場面で相談でき、アドバイスが受けられる施設です。
それらのサービスが無料で何度でも利用できるのですから、使わない手はありません。どうぞ気軽に利用してみてください。