新聞で、在留外国人に関する記事を目にすることが多くなりました。人材不足という問題に直結するテーマとして、在留外国人の動向は常に注目されています。今後さらに増えていくのか、今現在どこに住んでいるのか、どんな生活をしているのか。身近で外国人に出会ってもその実情がわかりにくいからでしょう。
ここでは在留外国人に関してのデータをもとに、増加傾向なのか、どこに住んでいるのかについてお伝えします。
在留外国人とは
在留外国人とは、外国人登録者のうち、中長期在留者としての在留資格をもって在留する者及び特別永住者をいいます。言いかえれば、在留外国人とは、資格に応じた活動を法務省によって許可され、日本に滞在している外国人といえます。
在留資格と査証(ビザ)はよく混同されますが、査証は入国のため、在留資格は滞在のために必要なものという違いがあります。
在留外国人の数は過去最高に
さて、在留外国人の人数は今どれくらいなのでしょう。増加傾向にあるのでしょうか。
出入国在留管理庁(入管)が公開している資料によると、最新のデータは2020年6月のもので、在留外国人は約288.6万人です。また直近の数字を拾うと、2019年6月は282.9万人、2018年6月は263.7万人ですから、在留外国人の数は増加傾向にあるといえます。
数字だけ見るとその増加傾向は鈍っているようにみえますが、コロナが騒がれ始めた2020年に帰国した外国人が多かったことを考え合わせプラスマイナスしても、増加傾向にあります。
結果、最新のデータである2020年6月の数字は、過去最高の在留外国人の数となっています。
外国人は大都市部に偏る傾向がある?
増加しつつある在留外国人は、日本国内のどこに多く住んでいるのでしょうか。
これについては、日本に限らずどの国でも大都市に外国人が集まる傾向がみられます。これは、地方に比べ賃金が高いこと、外国人コミュニティーが発達していることが理由として考えられます。
社会人であっても学生であっても、高収入が得られ、外国人コミュニティーが身近にあり不安なく海外生活ができる場所として大都市が選ばれるのは、立場を置き換えれば想像に難くありません。
在留外国人が最も多い場所と在留資格
ここでは、実際に在留外国人が住む地域とそこに住む在留外国人の在留資格についてみていきましょう。
在留外国人が最も多い都道府県
2020年6月の資料は、最も在留外国人が多く住むのは東京都で568,665人、次いで多いのは愛知県の276,282人、以下大阪府253,303人、神奈川県235,369人と続きます。
大都市が多いのは当然の傾向ですが、大阪府ではなく愛知県がより多いのは、トヨタを中心とした製造業が発達しそれに関連しての仕事が多いことが予想されます。
在留外国人が最も多い自治体
在留外国人が最も多い自治体を順に挙げると、東京都新宿区が3.9万人、江戸川区が約3.8万人、足立区が3.4万人と続きます。いずれも東京都の自治体であり中でも新宿区に最も多くの在留外国人が住んでいます。
次に多い愛知県では愛知県豊橋市と豊田市がいずれも1.9万人、大阪府では生野区が2.8万人、東大阪市が1.9万人となっています。生野区は在日韓国人が多く住む自治体として長い歴史があります。
国籍・地域別
東京都新宿区に住む外国人についてその国籍をみると、中国が14,058人、韓国が9,260人、ついでベトナムが2,542人、ネパールが2,430人という結果が出ています。
(※令和3年2月1日現在のデータ)
断然多いのは中国人そして韓国人で、これは他の自治体を見てもほとんど同じ傾向です。が、興味深いことにその次に来る国籍は自治体によって若干違います。
東京都についていえば、江戸川区や足立区では中国人と韓国人の次に多い国籍はフィリピン人そしてベトナム人となっており、こういった国籍の違いがその自治体の特徴を表しているともいえるでしょう。
在留資格別
在留外国人の最も多い自治体である東京都新宿区に住む在留外国人を、在留資格別にみていきましょう。
最も多い在留資格は留学の10,291人、次は永住者の7,869人、技術・人文知識・国際業務の6,727人と続きます。そして家族滞在の4,300人、定住者1,531人となっています。
留学が最も多く、また学校を卒業した後に移行することの多い、技術・人文知識・国際業務も高い数字となっています。ニュースなどで挙がる技能実習については130人、特定技能は27人と非常に低い数字です。
ただしこのデータは東京都新宿区に限った数字で、他の自治体ではまた違った傾向がみられます。
たとえば総数が34,380人と比較的在留外国人が多い東京都足立区を例にとると、技能実習の在留外国人は1,225人います。しかしながら特定技能は15人とまだまだ少ない数字です。
真の目的にそった資格は何かに注目
以上、出入国管理庁の資料からわかったことは、今現在、留学とその卒業後の資格である技術・人文知識・国際業務が多いということ、そして特定技能については注目されている資格であるにも関わらずまだまだこれから始まっていく資格であるということです。
日本語学校や専門学校では、留学という資格をつなげるために学校を渡り歩く学生が多いこと、学費の支払いと生活のためのアルバイトに必死で疲れ切った表情の学生もいることを耳にします。
その反面、在学中から特定技能の資格を得るための試験を受け、すでに合格し「これから私は金持ちになるかもしれない」とワクワクしているベトナム人にも会いました。
今後、在留外国人の資格の分布についてはどのように変化していくか目が離せません。一人ひとりの目的にあった資格で滞在できるのが一番いいというのは当然のことでしょう。